ストーリー
その歪みこそが、愛のしるし。
狂気の科学者J・Mは、五人の子供に人体改造を施し、”怪物”と呼んで責め苛む。ある日彼は惨殺体となって発見されたが!?――本格ミステリと恐怖、そして異形への真摯な愛が生みだした三つの物語。
綾辻さんの小説読了。精神病院の患者のお話です。
3つの短編ですが、自分はあまり短編好きじゃないかも。やっぱり長い間その話の中、世界観に浸かりたいというのがあるからかな?
まあ、でもどんでん返しもあって楽しめました。私は前2つのお話が好きですね。特に2番目の409号室の患者のお話。騙されましたね~。あと、ちょっと怖い。
精神病の患者ということなので…ある程度の予想はつきますし、必ずしも真実を話しているわけではないんですよね。だから何が本当で嘘なのか中々分からないものです。とはいえ、3つとも実はこうでした…が似ているのは精神病だから仕方がないのかも。
3番目の話はちょっと難しかったんですが、芋虫のくだりで江戸川乱歩を思い出しました。芋虫は気持ち悪くて印象に残っていますね。乱歩だとまあ、人間椅子の話が結構好きです。あれはゾッとしました。…と話がちょっとそれましたが綾辻さんの作品はどれも読みやすいですね。
ただ、この作品はどのお話しも後味は良くはないですし、もやっとします。歪みや狂気も感じます。自分は物足りなかったですが、ゾッとしたい人にはオススメかもしれません。
※ネタバレあり(結末)
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313号室の患者
主人公は毎日母親の見舞いをしているが実は主人公は親を殺している。
そのことは忘れていて、見舞いの最中に全てを思い出す。しかし、殺してしまったことを忘れて同じことを毎日繰り返す。
409号室の患者
ある夫婦が事故に遭って顔にやけどを負った妻だけが生き残る。
実は妻ではなく生き残ったのは夫の方だった。妻を死なせてしまった自責の念にかられて夫である俊という存在を消して、妻に代わって生き続けようとした。
564号室の患者
ある小説家と探偵の話。精神病院の患者が書いた原稿を読んでいく内に出てくる怪物は自分のことを指していることが分かる。実は主人公はその564号室の患者。探偵は本当に実在しているのか不明。
[1回]
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