ストーリー
「先生は、患者を救ったんです――」
末期がん患者の水木雅隆に安楽死を行ったとして、裁判を受ける天心病院の医師・神崎秀輝。「神崎先生は私から……愛する夫を奪っていったんです…!」証人席から雅隆の妻・多香子が悲痛な声をあげるも一向に口を開こうとはしない。そんな神崎には他にも2件、安楽死の疑惑がかかっていた。患者思いで評判だった医師がなぜ――?
悲鳴をあげる“命”を前に、懊悩(おうのう)する医師がたどり着いた「答え」とは?
“安楽死”をテーマに描く、乱歩賞作家渾身の医療ミステリー
安楽死について興味があったので手にとってみましたが、これは良い作品だと思いました。
連作短編になってあり、それぞれ出てくる登場人物の苦悩や葛藤、背景などが丁寧に描写されています。緩和ケアというものがどういうことをするのかなど知ることもできて、とても興味がわく内容でした。
ミステリーというよりは医者と患者の心理描写が主な感じです。読んでいて、安楽死の意味について考えさせられました。
最終話の背負う命で神崎医師が言った言葉「安らかな死は医師が与える人工的な死ではない。文字どおり、苦痛がない最後の時間を最後まで生き、死ぬことだよ」「それこそが究極の緩和ケアだ」という言葉にハッとさせられました。なるほどなあと思いました。
私も苦しむぐらいだったら安楽死させてほしいし、家族が死んでほしくないと願っていても、自分の死に方は自分で決めさせてほしいと思います。苦しんで死ぬのは嫌です。だから、自分ももし大きな病気になって最後まで苦しむくらないなら苦しみを引き延ばしてまで生きたいとは思いません。
個人的に思うのは安楽死をもっと日本で議論してほしいですね。世界では安楽死を認めている国もあります。その点、日本は安楽死は認められていません。だけどもう少し選択肢があってもいいんじゃないかなと思うので絶対認めないではなく、難しい問題だけど議論してほしいなあと思います。
[2回]
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